バイオマス発電、燃料の壁
人手不足で木材集まらず 地産地消モデル空回り
2018/12/12付
日本経済新聞 朝刊
木材などの生物資源を燃やして電気をつくるバイオマス発電が壁に突き当たっている。再生可能エネルギーの主力とされるが、政府の認定を受けた案件のうち2割しか稼働していない。燃料を確保できないのが理由だ。日本は豊富な森林資源を抱えるにもかかわらず、なぜ燃料が不足するのか。国内の産業に暗い影を落とす人手不足が、ここにも影響している。
再生可能エネルギーのレノバが16年に稼働させた秋田県の出力2万キロワットの発電所では、燃料の8割を県内の未利用木材でまかなえた。21年に稼働する7万5000キロワットの大規模発電所では、ほぼ燃料の全量が海外からの輸入に頼らざるを得ない事態に直面している。
このため、商社などは調達網を広げる動きを早める。三菱商事などは木質ペレット世界大手の米エンビーバと長期契約を結び、21年から年150万トンを米国から輸出する。三井物産も10月に豪アルタス・リニューアブルズから木質ペレット10万トンを日本に10年間供給する契約を締結した。
新電力大手のイーレックスは自ら燃料調達に乗り出した。東南アジアにあるパームやしの実の殻(PKS)の集積所に出資し、12月上旬にはマレーシアからPKSを積んだ船が日本に到着する。自社で使うだけでなく、外部のバイオマス発電事業者への販売も始める。
国が12年にFITを始めた当時、バイオマス発電で描いた地域